2023年6月14日、朝9:10頃、岐阜県の陸上自衛隊射撃場で、高校卒業し入隊した「自衛官候補生」が銃で教官3名を殺傷する、痛ましい事件が起きました。
指導が悪かったのでのでは?
なぜ銃を発砲できた?
18歳に銃をも持たせるのは早すぎではないか?
採用、適性の判断が甘かったのでは?
数々の声が国民からあがっています。
私の元にも、解説を求める声が多く寄せられましたので、報道とは違う角度からお伝えします。
私は5月8日、日本経済新聞「経済教室 私見卓見」コーナーに投稿して大きな反響をいただきました。
少子化と経済回復で、自衛隊の「任期制隊員」採用が計画の半分に落ち込んだ事の対策を。
「任期制隊員」が今回の「自衛官候補生」の事です。
《警察との違い》
自衛隊の教育の違いをお伝えする為、警察と比較してお伝えします。
制服着て、鉄砲もって、敬礼して
自衛隊と警察はよく似た組織だと思われています。
けれど、新人教育は全く違います。
ドラマ「教場」が人気です。
木村拓哉さんのドライなハマリ役が面白い。
ドラマをみられている方は、説明が必要ないのですが。
警察学校で冷徹無比な風間公親教官のやっている事は、適性のない者の容赦ない「排除」です。
前回のシリーズでは、危険な思想を持っている者は確実に「排除」、退校させます。
警察学校には大学卒が6カ月、高校卒は10カ月入ります。
採用された瞬間に「巡査」の階級が付くのが自衛隊と違います。
自衛隊は3カ月の教育を終えると、「自衛官候補生」を終えて「自衛官」になり「2等陸士」の階級が与えられます(海なら海士、空なら空士)。
警察学校を退校イコール、警察官「巡査」を辞職させられる事になり、その人の人生にとってつらい大きな出来事に。
そんな事になろうが、どんどん「排除」するのが警察学校のシステムです。
一方、自衛隊は「底上げ」です。
「体力」「気力」「思考」など、足りない前提で、どんどん引き上げていく。
警察の基準以下を振るい落とす方法と、全く逆なのです。
私の推察ですが、徴兵制の軍隊は男性全員が入るもので、個性特性は関係がありません。
余程体力がない方は除かれますが、それ以外はみんな入るもので、選ぶ余地がないということ。
だから、振るい落とせないのです。
徴兵制の韓国に当てはめたら、振るい落としてくれるなら、我先に辞めさせてもらおうとするかもしれません(失礼)。
自衛隊は採用試験はありますが、入った以上は「犯罪」を起こすなどではない限り、教育機関を終えて、2年か3年の「任期」満了まで、辞めさせるという考えはありません。
なら、不向きなまま仕事をさせるのかと言えば、そうではなく。
自衛隊には膨大な職種・役割があり、教育期間中に数々の試験や教官の見立てで、人それぞれの「適性」に合ったところに配置しているのです。
計算が得意、IQが高い、射撃がうまい等々、表立っては公表されていませんが、それぞれの「適性」を考慮して仕事をさせています。
ですので、今回の犯人をなぜ「排除」しなかったのか?の答え。
「排除」するシステムではない。
更に、教育中は常にだれか教官に見られていますので、問題行動があれば「排除」はしないが「マーク」され、手をかけて自衛官として活躍できる「人」に育てます。
今回はどうだったのか、予兆があったが指導しきれなかったのか、捜査が待たれます。
コメント